本当にこわい“冷え”の正体
今や日本中の人が冷えています。冷えると全身の血のめぐりが悪くなり、体の中ではとんでもない事が次々と!冷えのおそろしい現実を知り、一刻も早く、冷えた体から脱却しましょう。
がんも不調もみんな「冷え」が関係
毎日いろんな患者さんと接していて、気になることがあります。「冷え」や「体温」に無頓着な人がけっこう多いのです。
女性の場合、手足が冷えていても「体質だから」と軽くみていたり、「私の平熱は35度台です」と自慢げに言う人すらいます。「体温なんか、測ったことがない」と胸を張る男性もザラですね。こういう人に限って、少しでも熱があるとわかった途端、ヘナヘナと(笑)。どうやら、熱というものは高いときだけが問題で、「低いと危険」という意識がないようなのです。
はっきり言います。冷えや低体温は、あらゆる病気や不調の引き金です。長年、がんやアトピー、生活習慣病からうつまで、さまざまな症例を診てきましたが、具合が悪い人はたいてい冷えきっています。お腹を触ってみると、あまりの冷たさにビックリすることも。
体温が35度台という人も珍しくありません。血流が滞って冷え、体全体に熱が行き渡らず「低体温」になっている人が驚くほど多いのです。
冷えている自覚がなくても、生理痛や腰痛、肩こりがつらい人は、筋肉の血流が減っている証拠ですし、アレルギーのある人は、腸が冷えている可能性が高いのです。
肌のくすみも足のむくみも、冷えとセットの血行不良が原因です。
さあ、一度、平熱チェックをしてみましょう。何度ありましたか。できれば36・5度はほしいのですが、「平熱ってそんなに必要なの?」と、意外に思われるかもしれませんね。でも、体の機能をスムーズに働かせ、健康をキープするには、36度台後半から37度の体温は当たり前なのです。
血めぐりの悪化は生命の危機!
私たちの体には、全部つなぎ合わせると地球を2周するより長い血管が通っていて、全身にくまなく酸素や栄養分を運んでいます。この、大切な血めぐりを邪魔するのが「冷えの正体」です。
冷えがもたらす作用を、体温調節をつかさどる自律神経の働きとともに説明しましょう。ちなみに、自律神経には、体を緊張させて活動に備える「交感神経」と、体をゆるめてリラックスさせる「副交感神経」があり、二者は絶妙のバランスをとりながら、さまざまな生命機能を調整しています。
冷えを感じた体は、まず、交感神経のスイッチをオン。抹消の血管をキュッと収縮させて血流を悪くし、深部の熱を逃さないように働きます。ところが現代は、どっちを向いても「冷え」のオンパレード。
自律神経が切り替わらず、交感神経ばかりが刺激され続けるという状態に。
その結果、常に全身の血のめぐりが悪く、新陳代謝が鈍り、老廃物がたまり、体温が下がってさらに冷えを招くなど、どんな病気になってもおかしくない状態をつくり出してしまうのです。
たとえば、うまく代謝されなかった糖分や脂肪分が血管壁や体内にたまるとどうなるか。メタボリックシンドロームのリスクが高まりますよね。私は毎週、人工透析に立ち会うのでよくわかるんですが、血液そのものも、冷えるとドロドロになります。
お肉を冷蔵庫に入れておくと、白い脂が浮いてくるでしょ。あれと同じです。冷えは血管を狭めるだけでなく、脂肪分を固めて、血めぐりの悪さに拍車をかけてしまうのです。痛みも、筋肉の血流が減り、冷えて固くなった結果、起こります。
生理痛は冷えて固くなった子宮筋が強く収縮する痛みですし、頭痛や腰痛は、血管を拡げて血めぐりを改善しようとする物質が、同時に痛み成分をつくり出すのが原因です。
温めるだけで驚きの効果が
知れば知るほどこわい「冷え」ですが、冷え対策にもっともおすすめなのが「湯たんぽ」です。患者さんたちにも。湯たんぽを試しに手渡すと、「気持ちがいいですね」とニッコリ。使い続けると気になる症状が快方に向かうのです。
乳がんの患者さんでは、こんなこともありました。「600万円以上かけて細胞免疫治療法を続けてみたのですが、リンパ球が増えなくて」と、ため息しきり。成人のリンパ球の正常値は、血液1マイクロリットル中1500以上ですが、彼女の数値は500〜600でした。
ところが、私がすすめた湯たんぽで、リンパ球の数が1600に増えたのです。
しかも、たった1週間で!これには、私自身が目を疑いました。湯たんぽ1個で高度な先端治療に勝ってしまったのです。温めるということが、どれだけ体のバランスを回復させるのか、改めてすごいなぁと…。
実は、体に熱を加えると、リンパ球が増えて免疫活性が上がるのです。さらに、ヒートショックプロテインという、ダメージを受けたタンパク質や異常細胞を修復する、抗ストレスタンパク質が生まれることもわかっています。温めると、体は確実に治る方向に向かいます。冷えが解消され、血めぐりがよくなるからです。
血めぐりがよくなれば、あらゆる不調も改善。生活習慣病のリスクが減り、自律神経の働きが正常になり、心の悩みもほぐれていきます、湯たんぽは、まさに魔法の薬ですね(笑)。さあ、「冷えの悪循環」を温め生活で断ち切りませんか。温めてソンすることは何ひとつありません。このあと、今日からすぐにできる「温めポイント&温め法」を紹介していますので、できることからはじめてみてください。体が温まれば、心も温まります。生きることが楽しくなり、人生もあったかくなることでしょう。
(抜粋:川嶋朗式 からだ温め法 「冷え」を取れば健康になる! (洋泉社MOOK))
医学博士 川島 朗
北海道大学医学部卒業、東京女子医科大学大学院修了、ハーバード大学医学部、マサチューセッツ総合病院留学。帰国後、西洋医学を東洋医学や代替医療で補完する「統合医療」に取り組む。著書に『心もからだも「冷え」が万病のもと』、『冷え取り★美人』ほか多数。
【著 書】
心もからだも「冷え」が万病のもと (集英社新書 378I)
冷え取り☆美人 体を温めてキレイ&健康!









