宗教上の輸血拒否、転院勧告などに課題-都立病院倫理委
2009年11月9日配信
東京都病院経営本部は11月6日、今年度2回目の「東京都立病院倫理委員会」(委員長=土田友章・早大人間科学部教授)を開いた。下部組織の専門委員会が まとめた宗教上の理由による輸血拒否への対応についての中間報告を受け、議論した。転院勧告や妊婦への対応などは今後の専門委員会での議論に持ち越すこと になった。
この問題について都は、1994年に都立病院における対応についての指針を出している。しかし、昨年2月に日本輸血・細胞治療学会などが「宗教的輸血拒否に関するガイドライン」を示したことから、これとの整合性を取ることなどが課題となっている。
専門委員会ではこれまでに、宗教上の理由で輸血を拒否している宗教団体からのヒアリングなどを実施。その結果などを踏まえ、▽都指針策定の考え方▽年齢区 分▽転院勧告▽15歳以上18歳未満で、患者本人が輸血を拒否し、親権者が輸血を希望した場合の対応▽妊婦への対応―など8項目の中間報告を、この日倫理 委員会に示した。
この中で、新たな指針の基礎となる「都指針策定の考え方」については、大筋で了承された。通常時は医療関係者と患者・家族が十分話し合いながら輸血の意思決定することを前提とするが、緊急時には指針に従って対応し、輸血が不可避の場合は輸血を行うとされた。
都立病院が輸血を拒否する患者の希望に添えない場合などに考えられる「転院勧告」については、患者が希望した場合、患者の要望に対応できる医療機関に速や かに紹介することも選択肢の一つとして盛り込まれている。患者の切り捨てにならないように紹介先の医療機能を十分に確認することが示されたが、継続して専 門委で検討することとされた。
また、専門委員会による宗教団体のヒアリングでは、団体が無輸血治療などを行う医療機関をリストアップしていることが分かった。これについて委員からは、 医療機関の紹介について、宗教団体の介入が大きくなることを懸念する声が出た。都立病院が紹介先の医療機関について十分確認するのは難しいとの意見も出 た。
「妊婦への対応」については、妊婦に意識がある場合は胎児の生命に与える影響を踏まえ、輸血の同意を取るよう十分な説得を行うとしている。意識がなく輸血 を行わざるを得ない状況では、母体・胎児の生命を尊重し、輸血を行うという方向性が示された。南智仁委員(都立大塚病院長)は「産科は突然出血する。産科 医にとっては大きな問題」とした。このテーマは引き続き検討されることとなり、産科医から意見を聞くことも提案された。
今後は専門委員会で今後2回の会合を開き、来年の2月には倫理委員会への最終報告が行われ、報告書にまとめられる予定だ。







